母娘書評001:あべこべが面白いだけで終わらない『さかさ町』
母娘書評、第1回。
▼始めたきっかけはこちら。
娘:『さかさ町』を読んで
(多少読みづらいですが、改行や誤字脱字・句読点の修正以外、基本的に娘が書いた文章をそのまま載せています)
おじいちゃんたちのいえにいこうとおもってでんしゃにのった二人。ところが、はしがおれてしまい、いけなくなった二人。とちゅうでとおった「さかさ町」に一ぱくすることになってしまったのです。
それで二人のしたのこがかぜぎみになってしまいました。そしてじゅんじょがきました。そしてしんさつをしたところくすりを1じょうのんでみると、アイスのようにくちのなかですぐとけてしまいました。そしてせんせいにこうといかけました。「なぜすぐとけるんですか?」。せんせいはこう、こたえました。「それはからだのたいおんをはかるためじゃよ。ほらアイスはたいおんがあついとすぐとけてしまってぎゃくにつめたいときはすぐはとけずにゆっくりとけるじゃろ。」それで二人はかおを一どみていいました。「ありがとうございました。」とね。
そして一日はおわり、あさがきてはしはなおりました。そして二人はいいました。「さようなら、さかさ町。そしてありがとう、さかさ町。」でんしゃがしゅっぱつして二人はさかさ町がみえなくなるまでてをふりました。
わたしもさかさ町にいってみたくなりました。そしていもうとかかぞく、おじいさんおばあさんがねつやかぜをひいたら、びょういんにつれていってあげたいです。二人もおじいさんたちにさかさ町にいったおもいでをおしえてあげてください。とおもう一さつでした。
母:あべこべが面白いだけでは終わらない
兄妹2人だけで汽車に乗り、おじいちゃんの家へ向かっていたリッキーとアン。途中で、橋が壊れて汽車が立ち往生してしまい、乗客たちは“さかさ町”で一晩過ごすことに。リッキーとアンも車掌さんにホテルへと案内され、さかさ町でいろんな“さかさ”に出会います。
文字が上下逆に書かれていたり、屋根が地面に刺さるように家が建っていたり、ホテルの受付で子どもが働いていたり…….。読み始めたばかりのときは、逆さまになる法則がよく分からないし、逆さにすると非合理になってしまっているものもあるし、ただ面白おかしい世界が広がっている町なのかな、と侮っていました。ごめんなさい。
読み進めていくうちに「なぜ学校に行くのだろう」「なぜ人は働くのだろう」と深く考えこんでしまいました。物語序盤では“さかさ”なのは看板や建物など物理的なものだけでしたが、後半では学校への通い方やお金の払い方など社会のシステムへと広がっていくのです。
「ここの人たちが言うには、そのほうがべんりなんだそうだ」
二人が町に降り立ったばかりのときに車掌さんが言っていたこの言葉が、本を読み終えた後に深く胸に刺さりました。何が本当に合理的なのか、合理的なものが本当にいいものなのか、改めて考えるきっかけをくれる本です。
▼詳細はこちら。
この本を翻訳された小宮由さんは、阿佐ヶ谷で「このあの文庫」を主宰している方らしい。いつか機会があれば行ってみたい。
▼「アベコベーコンスープ」なんていうのもあって、他にも原文がどうなっているのか気になる箇所がいくつかあったから原作も読んでみようかな。
- 作者: Frank Emerson Andrews,Louis Slobodkin
- 出版社/メーカー: Literary Licensing, LLC
- 発売日: 2012/05/01
- メディア: ペーパーバック
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